2012年03月23日

【小説】福田真太コンビニへ行く

小説です。
「バクマン。」の二次創作。
福田がコンビニへ買い物に行く話。


 「福田真太コンビニへ行く」

 俺、福田真太がいつもコンビニで買うものといえばがっつりとんこつだな。今日も買ったぞ。夜食だ。あと飲み物だな。今日は綾鷹だ。あと、朝起きて腹減ったままなのはイヤだから朝メシのやきそばパンとカレーパンも買ったな。そいつに合わせるブラックの缶コーヒーも買った。
 さー、いくらだ。
「735円です」
 マニュアル通りに店員が言う。まーコンビニの店員なんてそんなモンだ。俺もコンビニでバイトしてたときはそーだった。735万円ですとかボケられても困る。
「1035円お預かりします。300円のお返しです」
 フリーター風の店員は俺の出した金を間違えずに受け取ったし、お釣りも間違えずに渡してきた。
 だがお前はまだ一人前の店員とは言えねーな。なぜならお前はカップ麺を買った俺に箸を付けなかったからだ。まー、俺も昔はよくやらかしたけどな。
 言ってやる。それを聞ーたお前は俺に箸を渡したあと、あー僕ってまだまだだな、これじゃあいつまでたっても時給880円の道は遠いなあとか反省したらいー。
「あの、雄二郎さん」
「は」
 店員が固まった。俺も素でまちがえた。だれが雄二郎さんだよ、俺は店員さんって言おーと思ったんだよ、なんで雄二郎さんって言葉クセになってんだよ。俺は先生をお母さんと呼びまちがえる中2か。
「て、店長ー」
 待て。待て待て待て。なんでそこでお前は店長を呼ぶんだ。で、なんで店長もすぐ出てきたんだ。
「はい、店長の雄二郎です」
 待て。エエー待てよ、店長雄二郎って名前かよ、お前もーちょっと名前に個性持て。
 店長と店員は俺の顔を見て、手に持った買い物袋まで視線を落として、ハッと気付いたよーに目を合わせた。
「クジですね」
 オイ、違うぞオイ。
「ダメじゃないか下山くん、700円以上買った人には、700円ごとにクジを1枚引かせるんだよ」
「あああー、すみません店長忘れてました、お客さんもすみません。さあクジを」
 恥ずかしー。俺何してんの。クジとかどーでもいー。どーせハズレだろ。それ引ーてコイツにムダな手間掛けさせやがってとか思われんのかよ。え、俺それまじで恥ずかしーんだけど。当てたほーがいーのか。クソ、こーなったら当ててやる。ジョージアブラックこい。
 俺がクジ箱に手を突っ込んで引ーたら、なんとコアラのマーチが当たった。いらねー。甘いモン食えねー。まーでも、当たってよかった。恥をかくのはまぬがれた。
「おめでとうござ、あっ」
 コアラのマーチのアタリカードをよく見ると、下にもう1枚あった。ハズレのヤツがあった。
「おっ、お客さん、ダメですよ2枚引いちゃ。それ卑怯ですよ」
「いや、卑怯とか、おっ、俺はわざとじゃねーんだ、信じてくれ」
「店長これどうするんですか。アタリですかハズレですか」
 3人で固まった。何この重い空気。
 ややして店長が判決を下した。
「しょうがない。今回は特別だ。アタリだ」
 恥ずかしー。俺はただカップ麺買いに来ただけなのに。なんだよ特別って。
 そのとき俺はひらめいた。今までの恥をチャラにする方法を。
「ゆう、じゃねー、下山くんだったかな、店員さん、コアラのマーチお前にやるよ。バイトがんばれよ」
 決まった。
「ありがとうございますっ」
 下山くんは嬉しそーにしている。そーだよ、コンビニ店員はがんばってるよ。俺だってそーだった、がんばった。フリーターはそーなんだよ。夢かなえるためにがんばってんだ。
 だから俺は去り際に決めてやった。
「夢、かなえろよ」
「は」
 下山くんは固まった。
「夢ないです」
 恥ずかしー。俺何してんだ。もーイヤだ。
 逃げるよーに立ち去った俺は箸をもらうのを忘れていた。
 
 おわり


よその「バクマン。」の二次創作を読みに行ったら、あまりにも短い話ばっかりでげんなりしてしまいました。
短くまとめるのも難しいんです、わかってます。
でもお前らちょっと短すぎじゃねーのと思います。

で、自分でもそういう短いのを書いてみようと思って書きました。
ちゃんとおもしろく福田らしくなってるといいなあ。

イメージを壊してしまったという御方には申し訳ありません。
全力であやまります。
ごめんなさい。



バクマン。(1)
小畑健(作画)/大場つぐみ(原作)
集英社


コカコーラ 綾鷹(500ml×24本)


コカコーラ ジョージア エメラルドマウンテンブレンド ブラック(185g×30本)


ロッテ コアラのマーチ チョコレート(10個入)


posted by 忍者ムラサキ at 06:14 | Comment(16) | バクマン。

2012年03月18日

バクマン。の服部雄二郎で大喜利 5題目

大喜利PHP」で1位を取ったので、趣味に走って、「バクマン。」の雄二郎さんお題を出しました。
楽しかったです。
記念に全部コメント付けます。


【お題】
yujiro5.JPG

【1位/11票 ジェットよさ蕪村@王将の床さんの回答】
人の家のトイレでは息を止める
(雄二郎さんはキレイ好きだからね)

【2位/10票 ちむにーさんの回答】
俺があふれちゃう
(クソエロい!)

【3位/9票 qさんの回答】
塾の話やめろ
(ついてけなくて悲しいんだ!)

【4位/7票 中郎さんの回答】
2人組作れなんて無理ですよ!
(余るタイプだったか・・・)

【4位/7票 しましまさんの回答】
前触れとかあるだろ普通
(いきなりなっちゃあ、ね)

【6位/5票 R17@セピアさんの回答】
アイツは美人女将なんかじゃない
(なんのアニメだよこれ)

【6位/5票 明朗@王将の床さんの回答】
そこはツボじゃなくて骨
(雄二郎さん細いんだからやさしくしてやってよ)

【6位/5票 みそ味@漢字さんの回答】
揉むけどさ
(お題の表情から遠くない?)

【9位/4票 九官鳥と猫@クイズ雑学さんの回答】
それ僕の自転車です、返して下さい!
(ヤンキーに取られたか)

【9位/4票 やわーさんの回答】
うっ 毒の沼
(色をよく見てから入れ)

【11位/3票 daisukouさんの回答】
年収教えてください!
(なんだ、結婚でもするのか?)

【11位/3票 とかちさんの回答】
足の裏言うな
(うわ、まったく予想外のところから来て、おもしろさがよくわかんない)

【11位/3票 田中一さんの回答】
本番になって嫌とか言い出す
(いるわー、こういう困ったヤツいるわー)

【11位/3票 彩芽ちゃんさんの回答】
もうエヴァには乗りたくない
(写真でひとことのお手本みたいなボケだな)

【11位/3票 オールド木村さんの回答】
麺も一から作りたいんだ
(こだわりのラーメン屋)

【16位/2票 だーやすさんの回答】
カレーなのにルーがないだと!
(買ってこいよ)

【16位/2票 マッハチョップさんの回答】
すりおろしたってタマネギじゃんか
(好き嫌いしないの!)

【16位/2票 ちゃんこフォンデュ@海サカiさんの回答】
忍者ムラサキのこと思い浮かべてる
(オマケして1票入れたわ、福田のこと思い浮かべてるでもよかったぞ)

【16位/2票 YAIBAさんの回答】
アクオスの後のレグザ
(電化製品の新作の早さときたらなー)

【16位/2票 DBPさんの回答】
へっくしゅん
(エエー、これアリかよ!)

【16位/2票 カトラスとリボルバーさんの回答】
あぁ〜ムシャクシャしてみて〜
(それがすでにしてるってんだよ)

【16位/2票 てっぺー@らさんの回答】
これ以上削らないでくれ
(地味にくる嫌がらせだな)

【16位/2票 ライスさんの回答】
アァア〜〜〜〜(移民の歌:レッドツェッペリン)
(そんな歌ねーよ、ねーよな?)

【16位/2票 CHIKU-B@レゲエさんの回答】
遺産もらい損ねた
(兄の雄一郎が全部持っていきました)

【16位/2票 きのこ先生さんの回答】
TUBAKI使った結果
(合わなくて髪爆発)

【16位/2票 ねぎたま@めがねさんの回答】
ハヤシならハヤシって言ってよ
(わかるわー、カレーだと思って食べたらこんな顔になるわー)

【16位/2票 kewpieさんの回答】
コピーバンドで食えると思ってた
(そんな甘くないぞ)

【16位/2票 虎猫@レトロゲームさんの回答】
それは季語じゃありません
(季語はあざといワードじゃない?)

【16位/2票 風見鶏さんの回答】
これじゃ一年前とおなじ髪型じゃないか
(そういや雄二郎さんいつからアフロなんだろうなあ)

【16位/2票 知る権利2006さんの回答】
まっ、眩しい!ジーパンのポケットから滝川クリステルが覗いてるぜ!!ビューティフォー!!!続いてのニュースは池袋お得情報です!!!
(詰め込みすぎだ)

【31位/1票 分析四太郎@らさんの回答】
悔しいです!
(「俺は今からお前たちを殴る!」)

【31位/1票 たろふぁ@蟷螂さんの回答】
どんぶりの無いどんぶり屋なんて
(じゃあ何屋だよと)

【31位/1票 親父のヘッドギアさんの回答】
こいつはウイルソンじゃない。ウインソンだ。
(なんだこの微妙さ)

【31位/1票 へは゜@狼さんの回答】
入るヘルメットがない
(「福田くんバイクに乗せてよー」「ダメだ、雄二郎に入るヘルメットなんてない」)

【31位/1票 ケンドーアラシ@格闘技さんの回答】
棋士の谷川 浩司さん
(ごめん、だれ)

【31位/1票 ししゃも@レトロゲームさんの回答】
ありがとう、これは弟の分
(なんかかわいい)

【31位/1票 夜のあきらめの2の人@音ゲさんの回答】
レコでタワーしか作れん
(レ「ゴ」ね)

【31位/1票 大喜利魂さんの回答】
もうファッションじゃない
(そうこのアフロはスピリッツもしくはアンデンティティ)

【31位/1票 竃馬さんの回答】
スケスケの亀が
(表情関係ないけどおもしろいわ)

【31位/1票 ラフモンキーさんの回答】
恥ずかしい思い出フラッシュバックした
(わりとそのまんまなボケかな)

【31位/1票 エイム@VIPさんの回答】
「切符落としました」で通る
(駅員冷たいぞ、絶対通しちゃくれない)

【31位/1票 夜のこさたにさんの回答】
脳マン
(マンはエロい意味じゃないよね、男って意味だよね?)

【31位/1票 たずらさんの回答】
チワワなのに交尾してる
(あんなにかわいいのに!)

【31位/1票 そさんの回答】
主将の骨川スネオです
(全然違うじゃねーか)

【31位/1票 壽賀子さんの回答】
わさび入り当たった
(これもお手本みたいなボケ)

【31位/1票 シャズ菜さんの回答】
顎は凶器だって言っただろ!
(TOSHIがいるな)

【47位/0票 国士無双Tシャツさんの回答】
ヘックシュン
(かぶったな)

【47位/0票 カレーパンナさんの回答】
も、もう我慢できない!
(これでも表情に合ってるんだけど、何をガマンできないのか書くべきだったよね)

【47位/0票 tanisigeさんの回答】
そろそろ髪切りにいかなあかんな
(雄二郎さんお題で必ず出る髪を指摘するボケ)

【47位/0票 勝源さんの回答】
シャイナさーん!
(だれ)

【47位/0票 冬将軍さんの回答】
取り調べ初めて
(ああこれかわいい、おびえてる)

【47位/0票 ミスチルさんの回答】
イタリアの地図を書いてたのに顔になってしまった
(用意してた持ちネタって感じ)

【47位/0票 スカイハイさんの回答】
帰られた事に気づかない
(むしろ気付いてあああーって顔じゃない?)

【47位/0票 サノバビっちゃん@めがねさんの回答】
予習したのにな チクショウ
(先生当ててくれなかったね)

【47位/0票 にーずほっぐ@カレーさんの回答】
昼間の外灯
(「まぶしい」って書かずにこう書くのは好き)

【47位/0票 被告人@VIPさんの回答】
物がやなんで
(大雑把なボケだなあ)

【47位/0票 たろうちたさんの回答】
吉田の給食費盗んだのは俺ですっ!
(吉田氏ー)

【47位/0票 へる@森さんの回答】
せやからテストに出る言うたやろ
(まあ関西弁で書くのはあざといよな、いいんだけど)

【47位/0票 バロック式さんの回答】
ボクの実写版が武田鉄矢なんて・・・
(大泉洋言われたこともあったな)

【47位/0票 summer.fさんの回答】
泣きそうで泣かない
(いるわそんな小学生)

【47位/0票 中西さんの回答】
一発芸いきます!左の日頬から汗!
(がんばって画像を見て考えたボケという感じがします)


「俺があふれちゃう」は神!
もともとこの雄二郎さんはいった顔だと思っていました。
その妄想に「俺があふれちゃう」でこられるとエロい、エロすぎる!
このとき私空腹だったのに、「俺があふれちゃう」見て、わけのわかならない何かがあふれてきて、空腹完全に消えました。
エロ抜きにしてもバカでいいんですけど。

投票したのは、もちろん「俺があふれちゃう」と、「忍者ムラサキのこと思い浮かべてる」です。
今度ちゃんこフォンデュさんがいるときに福田お題出して、忍者ムラサキがどうこうでボケてもらおうっと。



バクマン。(1)


posted by 忍者ムラサキ at 02:55 | Comment(0) | 大喜利

2012年03月11日

【小説】福田先生とブルボンプチ

いつものように、妄想、小説。
というか、まともな文章の小説を書いたのはひさびさですか、ひさびさですね。

「バクマン。」の二次創作。
福田とお菓子を食べる話。
主人公は「あたし」で名前はありません、ペンネームはあるけれども。
要するにあなたです。
夢小説とか、ドリーム小説とかいうやつです。

キャラクター同士の触れ合いをお望みの御方には申し訳ありません。
そっとブラウザを閉じてください。


 「福田先生とブルボンプチ」

「おー来たか佐々木くん。ワリーな夜遅く急に呼んじまって。お前にラストちょっと手伝ってもらおーと思ってな」
 あたしのペンネームは佐々木秀明。デビューしたばっかりの新人マンガ家だ。女だけど、ジャンプらしい名前でいきたいからこのペンネームを使ってる。
 アシスタントの依頼があったので、あたしは福田先生の仕事場に訪れた。『殺生由意』のアシスタント以来だ。『由意』のときに呼ばれたのと同じ時間、22時にここに着いた。アシスタントの仕事とはいえ、好きな人の仕事場に夜訪れるというのはドキドキする。彼女でもないのにこんな夜に来ちゃっていいんだろうかなんて思う。
 あたしを出迎えてくれた福田先生は、紺色のジャージを着てた。学生みたい。学生と違うのはジャージの襟の部分がフードになってるとこだな。あと頭に白いニット帽を被ってるとこもだな。体に帽子ふたつって、どんだけ帽子好きだよこの人。
「安岡とか徹夜させんのワリーと思って帰したんだ。お前たぶん、昼過ぎまで寝てただろ。まーだから夜起きてても平気だと思って」
「なんで昼過ぎまで寝てたのわかったんですか」
 たしかにあたしは15時まで寝てた。というか15時に玄関のチャイムが鳴って起こされた。宅配の人だった。あの人が来なかったらもっと寝てたかもしんない。
「俺は神だからわかんだよ」
「神っていうか、福田先生はどっちかって言うとピッコロですけどね」
「だれが悪の心の塊だよ。失礼なこと言うな。お前なんか戦闘力5の農夫だ」
「ちょ、だれが『ドラゴンボール』17巻でラディッツに『戦闘力たったの5か、ゴミめ』って言われたおじさんですか」
「なんつー説明ツッコミだ。だいじょーぶだ、アシをやればお前の戦闘力は2倍になる。10だ」
「10って。ヤムチャですかね」
「何言ってんだ。ヤムチャに謝れ。10はチャパ王だ」
 ダメじゃないか。せめてヤムチャにはなりたい。狼牙風風拳くらいは打ちたい。や、もっともっとだ、もっと戦闘力を上げてネイルになるんだ。そしてあたしはピッコロの福田先生と合体するんだ。
「お菓子は持ってきたか」
「はい」
 来るついでにしょっぱいお菓子を買ってこいと言われたので、家にあるお菓子を持参することにした。いつもお世話になってるから差し入れだ。
「それお菓子か。なんかデケーぞ」
 言われながら部屋に案内される。
「コーヒーいれる。食おーぜ」
「あ、いつもいれていただいてるので、今日はあたしがいれます」
「さすがだな。そーいう気が利くヤツは出世するぞー」
 それはサラリーマンの世界だ。どこの世界にマンガ家がコーヒーいれて出世するというんだ。まあいい。
 あたしがキッチンに立つと、福田先生もやってきた。ミューズで一緒に手を洗う。
「やっぱりハンドソープはミューズだよな」
「あたしは固形石鹸ですけどね。あの塊が手のひらでゆっくり溶けていく感じがもう」
「わかった。お前が石鹸好きなのはわかった。もー語るな。俺はミューズを譲らねーぞ。そこらの石鹸とは気合いがちげーよ。バイ菌ぶっ殺すからな」
「ミューズなんてほとんどの成分は水ですけどね」
「ウルセーよ。世界は水でできてんだ、人も地球も70パーは水だ、水をうやまえ、砂漠に固形石鹸持ってって泡立たなくて涙目になれ」
 砂漠を持ち出されては勝ち目がない。
 あたしは水をうやまいながらヤカンに水を入れ、コンロにかけた。ついでに流し台に放置してあったマグカップを洗い、スプーンで1杯ずつインスタントコーヒーの粉を入れる。
「そういえば福田先生の家はヤカンなんですね。ティファールとかじゃなく」
「まーな」
「しかもオレンジのヤカン。かわいいじゃないですか」
「このヤカンは俺が上京したときに買ったヤツだからな、長い付き合いだ。そんときはコンビニで働きながらアシしてる生活で金もねーし、ティファールなんか高くて買えねーし、いちばん安いヤツがこれだったんだよな。いや、もっと安いのあったけどピー鳴らねーヤツでなー。こいつが680円で鳴らねーのが650円で、30円の差どーするかで1時間も悩んでこれ買ったなー。色もこれしかなくて。いや、あったけど、それは俺の時給よりたけーんだよ。ヤカンのために1時間以上も働けるかよ、な」
「悩んでる間に働けばよかったんじゃないですか」
「ウルセー。今言うな。そのときに言え」
 30円のチカラを発揮したヤカンがピーと鳴ったので、あたしは火を止めて、カップにお湯を注いだ。
 福田先生はそれを持って部屋の真ん中まで行き、クッションの上にドカッとあぐらをかいた。その姿がかっこよすぎて、あたしはまた惚れた。
「机散らかってるから床で食おーぜ。原稿も汚すと困るしな」
 あたしも投げ出されたクッションを受け取り、向かいに座る。
「そのデケーお菓子早く見せろ。気になるじゃねーか」
「まあ見てくださいよ」
 あたしは紙袋から箱を取り出した。箱の上には色とりどりの熊の絵が描いてある。熊の絵の上にはブルボンプチの文字。箱を開けると中には。
「ブルボンプチ、24種類セットです」
「おおおーすげー、どーした、これどーしたんだ」
「今日ちょうど懸賞で当たったんですよ。福田先生に差し入れです。24種類ドカッといっちゃってください」
 宅配の人はこれを持ってきてくれたのだ。ちゃんと起きて出迎えてよかった。
「すげー。うわ、当選おめでとうの紙まで入ってるじゃねーか。24種とか、お前、高学年の色鉛筆みてーじゃねーかすげー」
「金色銀色はないですけどね」
「あんなモンは嬉しーけど使い道ねーからな」
「白も使わないですよね」
「ねーな。俺結局丸付けで赤ばっかり使ったわ」
「あーなんか隣り同士でテスト交換して丸付けしましたね。今思えば先生仕事しろよって感じですけど」
 福田先生は箱からプチを1個1個取り出し、嬉しそうに見始めた。その姿がかわいすぎて、あたしはまた惚れた。
「あー、でも俺、甘いの食えねーわ。ワリー。安岡とかにやってもいーか」
「あ、はい。すみません、半分くらい甘いのですね。しょっぱいのだけ食べてください」
「酒飲みの舌だな俺は」
「お酒飲むんですね。知らなかったです。飲んだらどうなるんですか」
「どーもならねーよ。フツーだ。頭にネクタイ巻いて全裸になって寿司の折り詰め持って立ちションでもすると思ったのか」
「や、思ってないですけど」
 やだよそんな福田先生。あとその酔っ払いの姿はいろいろ詰め込みすぎだ。
「雄二郎はすぐ寝んだよなー。頬染めてなー。寝てもいーけど支払いのときは起きろってな」
 言いながら、福田先生はプチのうす焼を開けた。ギザギザのところを縦に裂く開け方だった。雑な開け方だ。あたしはつまみを持って開く派なんだ。
「俺はプチでこれがいちばん好きだな」
 福田先生が食べ始めたので、あたしもつまんだ。
「しょっぱいのだったら、あたしもこれですね」
「だよな。袋が黄色っつーのもいー。金が貯まる」
「それ財布の話ですけどね」
「いーんだよ、なんでも。お前は全部入れたらどれだよ」
「あたしはチョコラングドシャです」
「雄二郎と一緒じゃねーかよ。そもそもなんだよ、ラングドシャって」
「猫の舌って意味ですよ」
「残酷すぎるじゃねーかよ。猫の舌食うってお前」
「や、クッキーですけど」
「そもそもチョコラングドシャは白い恋人のパクリだろーが」
「それ言ったら、うす焼きも亀田製菓のパクリじゃないですか」
「いや、そもそもプチは全部パクリじゃねーのか。まークッキーはブルボンだから許してやるにしても、しょっぱい系は亀田の流れ汲んでるぞ」
「ナビスコのチップスターのパクリもありますね」
「マガジンで言ったら『フェアリーテイル』だぞ」
「いえ、あれは尾田先生です」
 そういうことにしておかないと賠償金で講談社はつぶれる。
「福田先生はなんで甘いもの苦手なんですか」
「昔は食えたんだけどなー。中2のときクラスでチュッパチャプスの早食いがはやってな。まず俺らダチの間で競争したんだ。噛むのナシっつールールでな。で、俺がいちばん早かった。それ知ったクラスのヤツらが俺に挑んできて、毎日昼休みに競争したんだよな。俺はその期間中、毎日毎日アメ食い続けて、そんで気付いたんだよ、俺は甘いモンがキライだってよ。もー俺は一生アメ食わねーぞ、ビッキーズ観に行ってアメ投げてきたら投げ返してやる」
 ビッキーズなんてもういないし。
「まー、結局クラスでいちばんはえーの俺だったわ。俺の舌使いに勝てるヤツはいねー」
 そう言って福田先生は、最後の1枚のうす焼をなんのためらいもなく取った。まあいい。好きな人に食べ物を与えるのが愛だもの。バレンタインだってそうだ。
「お前、うす焼のいちばん美味い部分知ってっか」
 全部食べ終わった福田先生が、唐突に聞いてきた。あるのかそんなもの。
「なんですか。真ん中ですか」
「ハイ、バカ」
「じゃあ端っこ」
「ハイ、無知」
「じゃあなんなんですか」
「知らねーなら俺が食う」
 言って福田先生はあたしの右手を取った。そうしてそのままゆっくり顔を近付けてきた。唇が軽く開いた。その唇があたしの右手の人差し指に当たり、あたしのそれを吸い込んだ。福田先生の舌があたしの人差し指の腹に当たる。
 うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。何してる何してる何してる。
 福田先生があたしの指をなめてる。あったかい肉の感触とトロトロの唾液。あたしの指がそれに包まれてる。
 どうしたらいいの。これどうしたらいいの。
「んっ」
 どうしたらいいの。変な声出た。恥ずかしい。死にそう。
 指。指なめられてる。クラスでいちばん上手な舌使いの人に、指、なめられてる。好きな人に、指、なめられてる。
 福田先生は人差し指をなめ終えて、次はあたしの親指を口に含んだ。
 なめられた人差し指が熱を持ってる。そして親指も。その熱がどんどんあたしの体に流れてくる。
「ハイ、正解は指に付いた塩でした」
 指から口を離した福田先生がニヤリとしながら言った。
 あたしはチカラが全部抜けちゃいそうだった。アメだったら溶けてる。食べるの早いはずだよ。だってそんな舌使いされたらアメのほうから溶けるよ。
 福田先生はあたしから手を離した。そうして自分のをなめようとした。
 だけどあたしはそれを逃さなかった。震える手であたしは福田先生の右手をつかんだ。顔は見れなかった。心臓早いままだった。ギュッと目を閉じたまま、あたしは福田先生の人差し指を口に含んだ。
「あああーっ、テメー、俺の塩っ」
 言葉とは裏腹に福田先生はなんの抵抗もしなかった。あたしにされるがままだった。
 あたしは福田先生の人差し指の腹に舌先を当てて、それからゆっくりと舌の腹を当てて、キュッと吸った。下から上に舌を動かした。指の腹だけじゃなく、側面も、それから爪の方にも舌を回り込ませてなめた。
 しょっぱい。塩の味。うす焼の味。でも、それだけじゃない。福田先生の味がする。わからないけど、きっとする。
 親指もなめた。人差し指と同じ味。福田先生の味。好きな人の味。好きな人の。
「クソ、いちばんうめーの取られた」
 唇を離したあたしに福田先生が言った。
「しっ、仕返しですよっ、独り占め、しよう、と、する、からっ」
 言葉が上手く出てこない。心臓早いの止まんない。顔赤いかもしんない。わからない。福田先生は何も気にしてないように見える。
「1個じゃ足りねーな。次、何食う。お前選べ」
「じっ、じゃあ、えび」
「おー、いーチョイスだ、俺もえびの気分だ」
 福田先生はえびを開けた。さっきと同じ縦に裂く開け方。や、そんなのどうでもいい。だって福田先生は、あたしがなめた指でえびせんをつまんで食べたんだから。その指にあたしの唾液付いてるんだから。それ指からえびせんに付いたんだから。あたしの唾液、福田先生の口に入ったんだから。
 あたしも福田先生になめられた指でえびせんをつまんで食べた。もうえびの味わかんない。福田先生の味な気がする。
「もー塩はやんねーぞ」
「あたしだってやりませんから」
 きっと福田先生は自分の指をなめる。あたしのなめた指をなめる。あたしも自分の指をなめる。福田先生のなめた指。福田先生の唾液の付いた指。どんな味がするの。福田先生の味がするの。
 あたしはえびせんを食べる福田先生の口を見た。彼女になれたら唇に付いた塩をなめてもいいんだよね、って思いながら。

 おわり


サラッと読める軽めのものにしようと思って書きました。
思ったより長くなったりしましたが。
ひさびさにまともな小説文を書こうと思ったら、書き方を忘れてしまっていたという。

イメージを壊してしまったという御方には申し訳ありません。
全力であやまります。
ごめんなさい。



バクマン。(1)
小畑健(作画)/大場つぐみ(原作)
集英社


DRAGON BALL(17)
鳥山明
集英社


アース製薬 薬用せっけん ミューズ(250ml)


ティファール ニューヴィテスプラス(1.0l)


ブルボン プチ うす焼


ブルボン プチ チョコラングドシャ


石屋製菓 白い恋人(12枚入)


ナビスコ チップスター うすしお味(50g)


FAIRY TAIL(1)
真島ヒロ
講談社


ONE PIECE(1)
尾田栄一郎
集英社


森永製菓 チュッパチャプス デザート+フルーツ&ドリンクセット(30本×2箱)


ZAIMAN ZAI


ブルボン プチ えび


posted by 忍者ムラサキ at 00:15 | Comment(0) | バクマン。